「セクレタリー」

前回の「秘書もの」という事を受けて一般映画ですがご紹介します。
2002年のアメリカ映画で、日本では「R-15」指定のレイティングだったと思いますが、SM・ボンデージファンにとっては中々そそられるシーンが数多くある映画だと思います。

冒頭、手枷を嵌められた秘書が書類を口に咥えて主人のオフィスまで運んでいく、というシーンから始まります。
オフィスの造りや調度品に高級感があり、秘書の雇い主である人物も「金には不自由していない」という雰囲気を漂わせ、直接的な性描写が無いかわりに「秘書」というイメージを取り巻く淫靡な雰囲気が楽しめます。この辺り、低予算のAVではなかなか望めない点でしょう。

ヒロインは、アルコール依存症の父と過保護の母、そして勝気な姉の支配を受けながら育ち、自傷癖を抱え精神的に危うい生活を送っていました。そんな自分を変えたくて女が求めた職がある男の個人秘書であり、そしてその男がサディストだったというわけです。
彼女は仕事上でちょっとした失敗をした時、「しつけ」として男からスパンキングを受け、驚く一方で快感と安心感を覚えます。そしてやがて自分から「しつけ」を求めるようになり、「奴隷秘書」という立場に安住の地を見出すようになっていきます。
一見類型的ではあるのですが、このストーリーは実際リアルなところがあります。

主人となる男にしても「逆らう者は抹殺できる」というような極端な権力者の設定ではなく、もし女の側が心変わりすれば一転してセクハラ加害者にされかねない危うい立場であって、実は自分の性癖について悩んでいたということが分かってきます。
そのため、Mである女は男に隷属する立場に心地よく居座ってしまうのですが、Sである男の側に、この関係を続けるべきかどうかという迷いが生じてしまいます。
この危うい二人の関係は、うまく収まるのか、それとも……

このように、ファンタジーとしてのSM世界ではなくリアルな男女関係としてのSMを描いた映画です。
実際、マゾヒズムを持つ女性の中には、人一倍気難しさやナイーブさを抱えている場合があり、そういう女性の内面を受け止めるのは中々大変な事です。そういった事に思い当たる節のある人にとっては興味深い映画だと思います。(2007/01/28)

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